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【読書メモ】『聞く力ー心をひらく35のヒント』阿川佐和子(2012)

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出典:ピエール瀧「日本中から嫌われたい」 阿川佐和子は初ドラマ!日曜劇場「陸王」 | cinemacafe.net

あけみさんによるベストセラー。 

 

 

 

今から6年も前に発売された阿川佐和子さんの『聞く力』から、個人的に記録しておきたい読書メモのエントリー。

阿川佐和子さんはかつて、報道キャスターとして活躍。多くの著名人へのインタビュー経験から得られた相手の心ひらく方法など、インタビューのみならず、人とのコミュニケーションにおいても役に立つヒントをまとめたのがこの『聞く力』で、2012年の年間ベストセラー第1位(トーハン発表)に輝いてる。

質問の柱は3本

個人に対してインタビューや取材をする際に、相手のことを全く調べずに臨むことは、まずない。話を受ける方にも、こちらがしっかりと勉強してきているかどうか、というのはすぐにバレてしまう。少しでも相手に気持ちよく話してもらい、相手の口からキーワードを引き出すためには、事前の下準備が欠かせない。

この情報収集をどこまでするべきか、というのはインタビュワー、記者によっても違うし、そのインタビューがどういう目的によっておこなわれるかでも異なってくる。そもそも、時間的な制約があり、やむを得ず準備不足で臨まなくてはいけないことも多々ある。自分も出来る限りの準備はして臨む派で、とにかく聞きたいことをリストに上げまくって、ある程度グルーピングしておく。

しかし阿川さんは質問の柱は3つまで、と主張する。例えば質問を20個用意しておくと、話を聞いているうちに「次はこの質問を聞こう」と考えてしまい、今、相手が話していることを、真剣の聞けなくなってしまうから、というのがその理由だ。極論、用意していく質問は1つだけでいい、とも述べているが、さすがにそれは怖い。1つの質問から、話のなかで気になったこと、引っかかったことを次々と質問していくのが一番理想的なインタビューかもしれない。インタビューの前に「ある程度こういう記事になるかな」と仮説、予想を立てても、インタビューの内容次第で、全く異なる内容になる可能性も非常に高い。それこそがインタビュー、取材の醍醐味かもしれないが、それはなかなかハードルが高い。

お決まりの話にならないように 本当は世間一般の人がこの人をどう思っているのかを想像する

インタビュー相手にとってお決まりの質問(よく聞かれるだろう質問)というのはあると思うし、インタビューでも外せないことが多い。しかし、そこでお決まりの答えしか引き出せないようでは、既にどこかで読んだことがあるような記事になってしまう。相手に聞きにくいことを聞けるかどうかで、インタビュワー、記者としての真の実力が試されるし、その相手の新しい魅力や発見を記事の読者に届けることができる。お決まりの質問とはすなわち、相手が快く気持ちよく答えてくれる、聞く側も聞きやすい場合が多い。「この人は世間一般の人にとってどのように思われているんだろうか、どういう疑問を持たれているのだろうか」と想像することで、自分の個人的な興味とは別に、客観的な位置が再確認できる。

先入観にとらわれない

先に「世間一般の人がどう思っているのか」を想像する、という話があったが、「こうなんだろう」と思われている部分と別の一面、新たな側面をインタビュワーが発見することが重要だ。阿川さんはこのことについて「人は360°の球体である」と説明している。それぞれの角度によって異なる性格、見え方がある。この人のインタビューは何度も読んだよ、という相手であっても、必ず、まだ見たことがない側面があるはずで、いつまでも未知の部分があるからこそ、その人に対する興味は尽きない、という。

逆に考えるならば、人として興味を持ち続けてもらうためには、360°それぞれの表情、側面を持った人にならなければならない。サイコロのような面の数が数えられてしまう多面体ではなく、常に相手に新しい一面を見せることで、また次も会いたい、と相手に興味を持つ続けてもらえる球体を目指したい。

実践で使える、話を掘り下げるフレーズ

先に質問は1つだけ準備していけばいい、という話があったが、その場合、今の質問の答えをどんどん掘り下げていく必要がある。そのために有効なフレーズとして「具体的には?」「例えば?」というものがある。また、英語で相手の言っていることが分からない場合も”Please be more specific(もう少し詳しく教えてもらえますか?)”と質問すれば、相手にこちらが英語が苦手だということがバレなくていい。

相手が謙遜して自分を卑下したときの返し

日本人相手とのコミュニケーションなら、相手が謙遜して、自分のことを卑下する発言をすることが多々ある。これまでの自分は「何をおっしゃいます!」とか「いえいえ」とか適当な感じで流すことが多かった。例えば相手が「私、すごく太ったでしょ」と自虐してきたとき、どういう対応をすべきか。反応が遅いと「本当のことで言葉を失ったんだな」と思われてしまうし、反応が速すぎると、本当は心のなかで「太った」と思ったけれど、そういう気配を察知されたくないので即座に否定したかのよう見えてしまう。ここで重要なこととして阿川さんは、返す言葉の内容ではなくスピードやトーンなどを総合して、相手に「ああ、本当に自分を慰めてくれているんだな」とわかれば、それでいい、と言う。確かに自分が適当に言っていた「何をおっしゃいます」とか「いえいえ」という言葉自体に意味はほとんどない。

さらに阿川さんが使ってみたいフレーズとして紹介していたものがある。自分を卑下する相手に対して「何を言っているのか、私にはよく意味がわかりません」と返すことで、クールに見せかけつつも、相手の気持ちを慮る気遣いも伝えることができる。初対面の人にこんなことをいきなり言われたら「えっ」ってなるけど、ある程度、関係を重ねてきた目上の相手には使うことができるかもしれない。

 

とても読みやすい書籍で、なるほど多くの人に支持された理由もわかる名著だった。続編もあるみたいなので、時間があるときに読んでみたい。

 

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*1:文春新書